職場で気になる人を意識しすぎてしまうのは何故なのか?

職場で気になる人を意識しすぎてしまうのは何故なのか
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気になる人を前にすると、なぜか自分の思考や行動が不自然になってしまう…。

声がうわずったり、言葉に詰まったり、表情が硬くなったりと、普段の自分らしく振る舞えなくなることがありますよね。

「意識しすぎ」だと分かっていても、なかなか直せないものです。

結論から言うと、意識しすぎてしまうこと自体は、決しておかしなことではありません。

自分が他人からどう見られているかを過大に意識してしまう傾向は、心理学でもよく知られているんです。

そこで今回は、職場などで気になる人を意識してしまうと本調子でなくなる原因を知り、意識の向け方を少し変えることで、この状態とうまく付き合っていくための方法についてお伝えしていきます。

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目次

なぜ、意識しすぎると不自然になってしまうのか

社会心理学には「スポットライト効果」と呼ばれる、よく知られたバイアスがあります。

Gilovich、Medvec、Savitsky(2000年、Journal of Personality and Social Psychology誌)の実験では、参加者に目立つ(あるいは恥ずかしい)Tシャツを着て人前に出てもらったところ、参加者自身は「かなりの人に見られ、覚えられているはずだ」と予想したのに対し、実際に周囲の人がその服装を記憶していた割合は、予想よりもずっと低いことが示されました。

つまり、人は自分が他人からどれだけ注目されているかを、実際より過大に見積もる傾向がある、ということです。

また、自分に注意が向きすぎる状態(自己注目)とネガティブな感情との関係を調べたMor & Winquist(2002年、Psychological Bulletin誌)のメタ分析(226件の効果量を統合した研究)では、「他人からどう見られているか」という公的な側面への自己注目が、社交不安と特に関連が強いことが示されています。

この関連は相関関係であり、すべての人に同じように当てはまるとは限らない点には注意が必要ですが、「自分がどう見えているか」に意識が向くほど、気持ちが落ち着かなくなりやすいという傾向は、心理学的にもよく知られた考え方なんです。

これらの研究は、いずれも「気になる異性を前にした職場での緊張」を直接調べたものではありません。

ただ、示唆として捉えるなら、気になる人の前で意識しすぎてしまうとき、私たちは「相手や周囲が自分をどう見ているか」を、実際以上に大きく見積もってしまっている可能性があるということですよね。

さらに職場の場合、次のような要因が意識しすぎを強めやすいと考えられます。

  • 同僚の目があり、好意がバレることへの抵抗感がある
  • 気まずくなっても、簡単にその場を離れられない(日常的に顔を合わせ続ける)
  • 評判や周囲からの見え方が、仕事上の関係にも影響しかねない

意識しすぎると、具体的に何が起きるか

気になる人を意識しすぎると、声がどもったり、言葉に詰まったり、表情がこわばったり、逆に不自然な愛想笑いになったり…。そんな反応が出てしまうこともありますよね。

私自身も、気になる人を前にするとこうした反応が出ることがあります。特に、相手が明るく元気なときほど、自分が「劣っている」ように感じてしまい、反応が強く出る傾向を感じています。

あなたもきっと、そのような自分にモヤモヤしたことがあるのではないでしょうか。

そして、「平常心の自分だったら、もっとうまく話せるのになぁ。」と思ったことも、あるはずです。

意識しすぎを手放すための基本的な考え方

実際に、Wells & Papageorgiou(1998年、Behavior Therapy誌)が行った実験では、社交不安症の患者に、人前に出る場面で意識的に外部(相手や状況)へ注意を向けてもらったところ、通常のエクスポージャー(場面に慣れる練習)だけを行った場合よりも、不安や否定的な思い込みが有意に軽減したことが報告されています。

これは社交不安症の治療を目的とした臨床研究であり、今回のような「職場で気になる人を意識しすぎる」という場面を直接検証したものではありませんが、自分の見え方への注意を、相手や状況そのものへ移すことが、意識しすぎを和らげる方向性として役立つ可能性を示す一つの手がかりだと言えます。

具体的には、次のような意識の切り替えが役立ちます。

  • 「うまく話せているか」ではなく、「相手の話をきちんと聞けているか」に意識を向ける
  • 「良く思われたい」ではなく、「相手が話しかけやすい雰囲気を作れているか」に意識を向ける

私自身の実感としても、仕事の会話で「気に入られたい」という気持ちが先に立つとかえってぎこちなくなり、逆に「話しかけてくれてありがとう」という感謝の気持ちを意識して接すると、自然に会話ができることが多いです。

これは、先ほどの一般的な傾向(自分への注目を減らすと楽になりやすい)を、職場の会話という具体的な場面に当てはめた一例だと捉えています。

職場で今日から試せる具体的なステップ

STEP
意識が自分に向きすぎていると感じたら、一度深呼吸する

反応そのものを止めようとするより、いったん立ち止まる方が現実的です。

STEP
会話の目的を「良く見られること」から「相手の話を聞くこと」に置き換える

質問を1つ用意しておくと、意識を相手に向けやすくなります。

STEP
業務上の関わりを通じて、小さなやり取りを積み重ねる

相談や確認など、仕事の用件をきっかけにした会話は、それ自体を「意識しすぎ」の練習の場として使えます。

なお、「小さなやり取りを積み重ねることで意識しすぎが徐々に和らぐ」というのは、確立された心理学的効果として実証されたものではなく、実践上の一つの工夫として紹介しています。

意識しすぎを手放そうとするときに、やりがちな失敗

「意識しないようにしよう」と強く意識するほど、かえって意識してしまう——これは心理学の実験でも確認されている現象です。

Wegner, Schneider, Carter, & White(1987年、Journal of Personality and Social Psychology誌)の有名な実験では、「シロクマのことを考えないように」と指示された参加者のほうが、かえってシロクマのことを考えてしまう頻度が高くなることが示されました。

この研究が示しているのは、「意識を消そう、なくそうとする」というアプローチには限界があるかもしれない、ということです。

先ほど紹介したWells & Papageorgiouの知見(意識の向け先を外部に切り替えることが役立つ可能性)とあわせて考えると、「意識しない」ではなく「意識の向け先を変える」という方向性のほうが、より現実的だと言えそうです。

ちなみに、意識しすぎている自分を隠そうとして、極端に素っ気ない態度を取ってしまうと、かえって不自然さが増したり、相手が「私のこと嫌っているのかな?」と勘違いして心の距離が離れてしまうこともあるので注意しましょう。

もっと具体的な場面別の対応を知りたい方へ

ここまでで、意識しすぎが起きる理由と、意識の向け方を変えるという基本的な考え方を紹介しました。

ただ、実際の職場では、廊下ですれ違う瞬間、休憩中に二人きりになる沈黙、頭が真っ白になってしまう瞬間など、場面ごとに「具体的に何を言えばいいのか」で迷うことが多いはずです。

そうしたシチュエーション別の会話の作り方や、頭が真っ白になったときの立て直し方、「自分目線」になっていないかのセルフチェック、話題に困ったときにそのまま使える会話テンプレートについては、noteの記事『職場の気になる人に自然に話しかける方法―「意識しすぎ」をやめるには』で、より詳しくまとめています。

ぜひ、そちらのnote記事も参考にしてくださいね。

まとめ

気になる人を前にして意識しすぎてしまうとき、「自分がどう見られているか」に注意が向きすぎているのかもしれませんね。

相手や周囲は、自分が思っているほど自分を見ていないものです。

意識の向け先を、自分の見え方から相手や会話そのものへ移すことが、意識しすぎと付き合っていくための一つの手がかりになるでしょう。

参考文献・関連書籍

以下は、本文の記述にあたって実際に参照した論文・研究と、テーマに関連する書籍です。書籍は本記事の実証的な根拠として使用したものではなく、関連するテーマの参考情報として掲載しています。

論文・研究

  1. Gilovich, T., Medvec, V. H., & Savitsky, K. (2000). The spotlight effect in social judgment: An egocentric bias in estimates of the salience of one’s own actions and appearance. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 211-222. https://doi.org/10.1037/0022-3514.78.2.211
  2. Mor, N., & Winquist, J. (2002). Self-focused attention and negative affect: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 128(4), 638-662. https://doi.org/10.1037/0033-2909.128.4.638
  3. Wells, A., & Papageorgiou, C. (1998). Social phobia: Effects of external attention on anxiety, negative beliefs, and perspective taking. Behavior Therapy, 29(3), 357-370. https://doi.org/10.1016/S0005-7894(98)80037-3
  4. Wegner, D. M., Schneider, D. J., Carter, S. R., & White, T. L. (1987). Paradoxical effects of thought suppression. Journal of Personality and Social Psychology, 53(1), 5-13. https://doi.org/10.1037/0022-3514.53.1.5

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