2023年4月7日、エンゼルスのトラウト選手が2号2ランを放つと、日本製の兜をかぶるホームランセレブレーション(本塁打祝い)が初披露されました。
昨シーズンは、ホームランセレブレーションにテンガロンハットをかぶっていましたが、一体なぜ、エンゼルスは兜を使用することにしたのでしょうか。
また、この兜はどこのメーカーのもので、値段や重さなどについても気になるところです。
そこで今回は、エンゼルスがホームランセレブレーションに兜を用いた理由やその兜の特徴についてお伝えします。
エンゼルスはなぜ兜を採用したのか?
発案者は球団関係者で大谷翔平ではない
よくTwitterなどのSNSや他の方のブログを見ていると、エンゼルスの兜の発案者は大谷翔平選手であるという記述を見ます。
しかしこれは、ちょっと違っています。
実際には、クオリティ・コントロール・コーチのティム・バス氏を中心に球団が発案したもので、その後、大谷翔平選手に了解を得て通訳の水原一平さんが取り寄せたものです。
なお、兜をかぶるようになったのは今シーズンの4月7日からで、オープン戦や4月6日以前の試合までは、今まで通りテンガロンハットをかぶっていました。
日本のプロ野球でいう「スコアラー」に近い役割で、メインの仕事は対戦相手のフィルム(ビデオ)分析。
対戦相手の過去試合映像から、ディフェンスや攻撃パターンなどをまとめ、他のコーチ陣などと作戦を立てる。
チームによっては、ポジション・コーチの補佐などもする。
2023年からは禁止となったが、「大谷シフト」を代表するようなシフトチェンジのサポートなどを行うこともあった。
兜に秘められた力
兜を見ると、「端午の節句」を連想する人も多いはず。
端午の節句とは、季節の変わり目の一つで、兜などの五月人形や柏餅といった飾りやお供え物を用意し、厄払いをして無病息災を願うという意味が込められています。
また、武将にとって、兜や甲冑は身を護るために必要不可欠なもののため、そういった厄や災いから身を護るという意味もあります。
エンゼルスの首脳陣がそこまで考えていたかはわかりませんが、今年こそは何としてでも地区優勝するという願いも込められているのではないでしょうか。
兜が「なおエ」を封印し、エンゼルスが快進撃できるよう、信じたいですよね。
「なおエンジェルスは…」の略で、大谷翔平選手が活躍したにもかかわらず、エンゼルスが敗北した時に使うことが多い。
詳しくは、『ピッチクロックとは?大谷翔平投打で違反するもトラウタニ発動でなおエ回避』を御覧ください。
侍ジャパンが大活躍したからか?
野球やサッカーの活躍もあり、今では侍ジャパン(SAMURAI JAPAN)という言葉は、世界中に知れ渡っています。
今回のWBCでも侍ジャパンが優勝し、特にチームの中心メンバーでかつMVPを取った大谷翔平選手が注目されました。
そのこともあって、大谷翔平選手が所属するエンゼルスは、ホームランセレブレーションに兜を使用することにしたのかもしれません。
ただこちらは公にはなっておらず、「球団が発案し、大谷翔平選手が承諾を得た」というところから推測したものです。
新たに手刀ポーズも披露!
4月下旬頃から、エンゼルスの選手がホームランを打つと、一刀両断するような腕を振るポーズを見せるようになりました。
こちらは、手刀(てがたな)ポーズや侍切りと呼ばれるもので、兜姿によく似合っていますよね。
なぜ手刀ポーズをするのか、その理由については、『手刀ポーズの理由!エンゼルス大谷翔平が腕を振るのはなぜ?』をぜひご覧ください。
エンゼルスの兜の値段と重さとメーカー
メーカーは約35人の匠がいる鹿児島の工房
エンゼルスの兜を作成したメーカーは、本社が鹿児島県の薩摩川内市(さつませんだいし)にある1958年創業の甲冑工房丸武(かっちゅうこうぼうまるたけ。丸武産業株式会社)です。
会社の敷地が広大なお屋敷のようになっており、そこに約35人の職人がいます。
職人たちは、戦国武将たちが着た本物の甲冑兜を手作りで再現しています。
エンゼルスが購入した商品は、紺糸威仏ニ枚胴具足(こんいとおどしほとけにまいどうぐそく)というもので、兜は「黒塗十八間筋兜」(くろぬりじゅうはっけんすじかぶと)と呼ばれるものです。
(甲冑全体を合わせた商品名が紺糸威仏ニ枚胴具足で、そのうち兜の名前が黒塗十八間筋兜。)
エンゼルスが購入した兜の値段と重さ
黒塗十八間筋兜は、18枚の鉄板を張り合わせて作り、製作期間は1〜2ヶ月ほどかかります。
兜の重さは約2kg。甲冑も合わせると、全体で約25kgになります。
値段は、兜のみで33万円、一式揃えようとすると77万円です。
大谷翔平選手がホームランを打ち、この黒塗十八間筋兜をかぶった後に問い合わせが殺到。
現在は受注を一時中断しているようです。(2023.4.11現在)
エンゼルスの兜は戦国時代以前に使われていたもの
エンゼルスが購入した兜は、甲冑工房丸武の田ノ上智隆社長の祖父である先代社長が昭和50年頃にデザインしたもので、モデルとなった戦国武将はおらず、オリジナル商品です。
実はこの兜、大鎧タイプといって戦国時代以前に使われていたタイプのものです。
このことについては、お城などの歴史に詳しく、兜の着脱回数世界一(自称)の「れきしクン」がコメントしています。
生中継を見ていたので、興奮しました!
私も普段から兜をかぶっていますが、エンゼルスさんと同じく丸武産業さんで購入した兜を10年以上愛用しています。
エンゼルスさんが購入した「大鎧」タイプは戦国時代以前によく使われたもので、戦国時代になると「当世具足」というもっとコンパクトで可動性のあるものに変化していきます。
私は当世具足タイプを購入しまして、全身で約20万円(3回払い)でした。今は頭だけでも購入できるようで、安いものだと10万円前後で買えるみたいです。
大鎧タイプの兜は少し高いので、一番安くて18万円くらいかかるみたいです。
ちなみに、トラウト選手が初めて着けた時は、前立ての鍬形のトンガリ部分の外側と内側の向きが逆になっていたようですが、誰かが教えたのか、その後は向きが直っていましたね!
東京ではお茶の水に支店がありますので、みんなで兜をかぶりましょう!笑
Yahoo!ニュース コメント欄(https://news.yahoo.co.jp/articles/184ec2bbf6af35b8f8f91b7268cde9f50aec89fd/comments)
ちなみに、渋谷区にある「戦国フォトスタジオSAMURAI」にエンゼルスと同等の兜があり、写真撮影できます。
また、大鎧タイプは重量約25kgとかなり重いですが、甲冑工房丸武では軽い甲冑も用意されています。
軽い甲冑には「SAMULIGHTかる冑」など商品があり、甲冑を着たままスポーツができるくらい軽いそうです。
エンゼルスの兜が壊れる⁉
4月8日のエンゼルスvsブルージェイズ戦で、レンヒーフォ選手がホームランを打って祝福を受けた後、兜の鍬形(くわがた)が取れてしまいました。
これを見た一部の視聴者からは、「なぜこんな壊れやすいものを作っているのか?」と批判の電話があったとのこと。
実は、鍬形は戦国時代からもともと取れやすい設計になっていました。
なぜかというと、持ち運びや収納がしやすいということに加え、武士が馬に乗っていて鍬形が木に引っかかった際や、敵の槍が鍬形にぶつかった場合、すぐに外れることで衝撃を逃がすことができるからです。
エンゼルスの兜は現代甲冑といい、撮影や舞台などで使うことも想定して作られており、結構激しい動きや衝撃に耐えられるそうです。
気温や湿度もまったく気にする必要がないと、甲冑工房丸武の販売担当の方がおっしゃっていました。
今までのエンゼルスのハットはどんな理由だったのか?
今シーズンのホームランセレブレーションは兜ですが、昨シーズンはテンガロンハット(カウボーイハット)をかぶっていました。
なぜテンガロンハットだったかというと、レンドン選手の出身がテキサス州出身で生粋のテキサスっ子だったからです。
このことは、昨シーズンの途中までエンゼルスにいたマーシュ選手が語っています。
レンドン選手は元々、ホームランを打った後にテンガロンハットをかぶっていたそうです。
そしてそれを見たチーム関係者が、ホームランや勝利を勢いづけようと発案し、ホームランセレブレーションとしてテンガロンハットをかぶるようになったのでした。
まとめ
- 発案者は大谷翔平ではなく球団が発案
- 兜には厄払いをして無病息災を願う意味が込められている
- 侍ジャパンが大活躍したからか?
- メーカーは約35人の匠がいる甲冑工房丸武
- 兜の重さは約2kgで値段は33万円
- 一式揃えると約25kgで77万円
- エンゼルスの兜は戦国時代以前に使われていたタイプもの
- 壊れたわけではなく鍬形が取れただけ
- 怪我防止等のため鍬形は着脱式になっている
- 元々はテキサスっ子のレンドン選手がかぶっていた
- それを見た球団側が勢いづけようと発案した