2023WBC侍ジャパンの切り込み隊長として大活躍したヌートバー選手ですが、栗山監督はどうやってヌートバーを見つけ、なぜ日本代表に選んだのでしょうか。
2023WBCが終わって1か月以上たった今、色々なテレビ番組や雑誌のインタビューなどで、侍ジャパンの裏話について明らかになってきました。
5月7日に放送された「緊急特報!侍ジャパンWBC世界一の熱狂!」もその一つで、『WBC裏話!決勝の円陣前にトラウトのサインボール貰う⁉大谷名言の理由』というのもありましたよね。
そこで今回は、栗山監督はヌートバーをなぜ日本代表に選んだのか、そしてヌートバーがWBC侍ジャパンにデビューするまでの経緯についてまとめました。
栗山監督はヌートバーをなぜ日本代表に選んだのか
メジャーリーガーを倒せる外野手を探していた
栗山監督がヌートバー選手を侍ジャパンに選んだ理由について、5月7日放送の「緊急特報!侍ジャパンWBC世界一の熱狂!」でお話されていました。
栗山監督が侍ジャパンの外野手を考えている時、トップレベルのメジャーリーガーを倒せる選手が欲しく、MLBから外国人選手を選んでも良いかもしれないと思っていたそうです。
実際にメキシコやプエルトリコなど他国では、過去の大会でもMLBで活躍している外国人選手をメンバーに加えています。
日本はこれまで、日本人のみで侍ジャパンとして戦ってきましたが、栗山監督は諸外国のように外国人選手を起用する可能性も見込んでおり、ヌートバー選手に目をつけたんです。
スカウトマンを通じてヌートバーを発掘した?
2022年の夏に栗山監督自ら、大谷翔平選手や他の選手が所属するMLBチームの試合をいくつか視察しました。
ただ、ここで疑問に思うのが、視察になぜわざわざヌートバー選手が所属するカージナルスの試合を選んだのかですよね。
MLBの選手は何百人といるなかで、なぜヌートバー選手の試合をピンポイントで視察したのでしょうか。
それはおそらく、栗山監督が事前にスカウトマンから資料やデータを貰っていたからだと考えられます。
大谷翔平選手やダルビッシュ選手など、MLBでプレーする日本人選手から情報を仕入れていたという話も上がっているようですが、ほぼ毎日試合漬けの選手たちに、栗山監督が問い合わせるのは少し考えにくいですよね。
それに、連絡を取ったとしても、大谷翔平選手たちが他の選手のことまで把握しているとは限らないじゃないですか。
なので、スカウトマンのような裏方役の人たちが事前にMLBの選手を調べ、栗山監督へ助言したのではないかと思われます。
NPBの各球団には10人前後のスカウトマンがおり、高校や大学、社会人、海外などの野球を視察するなどして、チームの戦力になるかどうか選手のデータを集めている。
侍ジャパンにスカウトマンがいるかどうかは不明だが、監督やコーチ陣のみで選手のデータを集めることは難しいため、侍ジャパンにもスカウトマンか、それに似た関係者がいると考えられる。
水原一平からヌートバーへ一報が入る
水原一平が仲人役だった
2022年夏、栗山監督がMLBの試合を視察後、どのようにヌートバー選手とコンタクトを取ったかというと、大谷翔平選手の通訳を務める水原一平さんを介してでした。
このことを取材した記事が、2023年3月9日発売のSports Graphic Number1069号に記載されていますので、以下引用します。
<名言4>
でも、考える理由なんてないでしょう。
(ラーズ・ヌートバー/Number1069号 2023年3月9日発売)
◇解説◇
水原通訳からのメッセージが、今回のフィーバーの始まりだった。
“以下にある私の携帯電話番号に、ご都合のいいときに電話いただければありがたいです”
この働きかけがなければ「1番センター、ヌートバー」の声が東京ドームに響かなかったと思うと……水原通訳のファインプレーも見逃せないが、その水原通訳から声を掛けてもらった瞬間、ヌートバーの心は決まっていたようだ。
「『まだ何も決まってはいないけれど、もし侍ジャパンに選出されたときは興味があるか知りたい』と。“マジか!”と。(中略)その場ですぐに『イエス』『オフコース』と答えたんだ」
Sports Graphic Number1069号
パスポートについて聞かれる
WBCに出場する選手は、「その選手が当該国の国籍を有していなくても、父母のどちらかが当該国の国籍を持っていれば代表の資格がある」と規定しています。
つまり、今回のヌートバー選手のように、本人は日本国籍でなくても、両親のどちらかが日本国籍であれば日本選手として出場できるということ。
ヌートバー選手の場合、お母さんであるクミさんが日本人国籍のため、侍ジャパンとして出場することができました。
もちろんこれも、通訳の水原一平さんを介してパスポートの確認がありました。
一平さん、裏方として大活躍ですよね。
クミさんに取材したことが、これまたSports Graphic Number Webに載っていましたので引用します。
クミ
最初聞いたときは「あるわけないじゃん、WBCだよ? 侍ジャパンだよ?」みたいにまったく信じてなかったんです。本心から。
でも11月か12月だったか、栗山(英樹)監督から水原一平通訳を通して電話がかかってきたんです。
「(出場資格の確認で)ラーズ選手のお母さまのパスポートについて教えてほしい」と。
でも、そのあと連絡がなかったので、「とりあえずの確認だったのかもしれない」と思ったところに、「この日に栗山監督と一平さんとZoomがある」ってラーズから聞かされて、ええええええって(笑)。
Sports Graphic Number Web
栗山監督がヌートバーを好きになったZoom面接
ヌートバーは斎藤佑樹と田中将大に会っていた
ヌートバー選手がまだ小学生だった頃、U-18日本代表としてアメリカに遠征に来ていた斎藤佑樹さん(元北海道日本ハムファイターズ)と田中将大選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)に会っていました。
斎藤佑樹さんや田中将大選手など、日本代表選手数人のホームステイ先(ホストファミリー)がヌートバー選手のいるご家庭だったんです。
日本とアメリカの親善試合を行っている時は、ヌートバー選手はバットボーイを務めるなど、いつも日本チームの輪の中にいました。
そしてヌートバー選手は、斎藤佑樹さんから記念にU-18侍ジャパンの帽子をもらったそうです。
栗山監督がヌートバーを好きになった瞬間
栗山監督がヌートバー選手を起用するに当たり、Zoom面接が行われました。
最初、栗山監督とヌートバー選手がZoom面接する時、栗山監督は時間を間違えてしまい(日本時間と思っていたのが実際はアメリカ時間)、ヌートバー選手を待たせることに。
水原一平さんから「まだですか?」という連絡が栗山監督へ入って、栗山監督が遅れてZoomに入出すると…なんとそこには、斎藤佑樹さんから貰ったU-18侍ジャパンの帽子をかぶったヌートバー選手が緊張した面持ちでいたのでした。
その姿に心を打たれた栗山監督は、「探していたのはこれだ!」と思ってヌートバーの代表入りが決定したそうです。
清水コーチの助言で「たっちゃん」と呼ぶことに
今となっては「たっちゃん」の愛称で知られているヌートバー選手ですが、彼がたっちゃんと呼ばれるようになったのはなぜでしょうか。
それは、清水雅治コーチの助言があってのことでした。
清水雅治コーチは侍ジャパンのコーチを長年務めていて、侍ジャパンのコーチ陣との食事会でヌートバー選手の話が出た時、「〇〇ちゃん」と呼ぶとチームに入りやすいと話していたそうです。
そして栗山監督が「それいいね!」ということで、ヌートバー選手のミドルネームからたっちゃんと呼ぶことに決まりました。
ヌートバー選手の本名は、ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー。
(日本名は榎田達治。)
「タツジ」は、ヌートバーの祖父である達治さんからもらい受けたミドルネーム。
ミドルネームの「タツジ」からたっちゃんと呼ぶことになった。
ヌートバーが侍ジャパンに溶け込めた2つの理由
①たっちゃんTシャツでお出迎え
ヌートバー選手が侍ジャパンに溶け込めた理由について、ご本人が緊急特報の番組で語っていました。
まず1つ目の理由が、たっちゃんTシャツです。
ヌートバー選手が3月3日に大谷翔平選手や水原一平さんたちと侍ジャパンへ合流した際、他の選手たちがたっちゃんTシャツを着て出迎えてくれ、歓迎ムードだったので嬉しかったと話していました。
②夕食がくじ引きだった
2つ目の理由が、夕食の席がくじ引きで決められていたから。
くじ引きのため、常に大谷翔平選手や水原一平さんと一緒にいることができず、他の選手たちとほぼ強制的にコミュニケーションをとることができたので、チームとしての団結力がより強く感じられたそうです。
番組内では、納豆をかき混ぜて食べるヌートバー選手の姿も映し出されました。笑
WBCの初ヒット&ペッパーミル
栗山監督がヌートバー選手らMLBの視察をしてから、侍ジャパンのメンバーが決まって合宿や強化試合を経て、いよいよ2023WBC本番当日へ。
侍ジャパンの切り込み隊長は、もちろんヌートバー選手です。
栗山監督は、初戦の中国との対戦を振り返り、何よりも一番嬉しかったのはヌートバー選手がいきなりヒットを打ってくれたことだと話していました。
それもそのはず、初の海外選手起用で、しかも初戦・初打席・初球・初ヒット・初ペッパーミルだったんですから。
このヌートバー選手の初ヒットから始まり、あなたも御存知のとおりその後も侍ジャパンは快進撃を続け、見事、WBC王者に輝くことができました。
まとめ
栗山監督はなぜヌートバーに目をつけ、日本代表に選んだのか、結構多くの人が疑問に思っているようです。
もちろん私もその一人で、今回色々と調べてみましたが、確実な情報というものが見当たりませんでしたね。
おそらく、スカウトマンのような侍ジャパンの裏方役の人たちが、栗山監督へ情報共有していたものと推測されます。
もしかすると、ステップ3と4の間に、栗山監督が大谷選手やダルビッシュ選手などMLBで活躍している選手と連絡を取り合っていた可能性もありますよね。
なんにせよ、栗山監督の洞察力は凄すぎますし、ヌートバー選手が切り込み隊長として活躍した侍ジャパンの試合は最高でした。
『ヌートバーがCM初出演!Zoffと森永製菓とヌートBAR?!』でもお伝えしましたが、CMでの起用も決まり、ますます人気が高まるヌートバー選手。
所属しているカージナルスでの試合も活躍していますし、また3年後のWBCでも彼の熱く全力でプレーする姿を見ることができることを期待しましょう。